夏をクールに乗り切るエコピープルの「涼しい生き方」とは? エコピープルならではのスーパークールビズの知恵をシェアしようと、7月19日(火)、ワークショップ「丸の内井戸端会議<涼しい生き方>を語り合おう」(主催:東京商工会議所、運営:エコピープル支援協議会)が行われました。
これは、東京・丸の内エリアで8月末まで展開されているプロジェクト「丸の内SUPER COOL BIZ」(主催:三菱地所株式会社、エコッツェリア協会)の一環として開催されたもので、エコピープル、エコユニットメンバーとその仲間、約60人が集まり、スーパークールな知恵を、熱い心で語り合いました。
ワークショップに先立ち、(財)地球環境財団理事長・嶋矢志郎氏がリーディングトークとして「涼しい生き方を考える―清楚で、瑞々しく、爽やかに―」というテーマで講演。その後、「ワールド・カフェ」方式によるワークショップが行われ、リラックスした雰囲気の中、多様な参加者どうしが様々な体験や意見を交換し合いました。
1.リーディングトーク 講師:嶋矢志郎氏 涼しい生き方を考える
―清楚で、瑞々しく、爽やかに―
(1)清涼感を科学する
「打ち水を打つと涼しくなるのは、なぜ?」
打ち水をすると、水滴が大気の熱を吸収して蒸気に変わります。この気化熱効果で大気や地面の温度が下がります。打ち水は先人が考えた生活の知恵ですが、そこには科学的根拠があったわけです。
本来、水と土は親和性があります。しかし都市ではコンクリートやアスファルトといった人工物が、水と土の間を遮断して、水の温度も土の温度も上げてしまいました。文明によって私たちは豊かで快適・便利な生活を手に入れましたが、代わりに失ったものも多い。これを私は近代化の忘れ物と言っています。
感性もそのひとつです。たとえば私たちは時計を身につけることによって「時」を感じる感性を劣化させています。しかし源氏物語には竪琴を爪弾いて、その響きで源氏に時を教えることのできる女性が出てきます。清涼感を感じる感性も同じです。私たちは、お上が言うから節電するのではなく、そうした自分たちが本来持っていた感性や生活の知恵を働かせて、涼しく生きたいと思います。
「せせらぎに涼気を誘われるのは、なぜ?」
せせらぎには、1/f(エフ分の1)のゆらぎがあります。1/fのゆらぎは、たとえば木の葉の流線形のように、自然界に存在する不規則、不連続なもので、自然の摂理がつくった最も抵抗の少ない、癒しを誘うものです。私たちの五体五感も、あらゆる器官に1/fのゆらぎがあり、そのゆらぎに合った外的刺激にあうと癒されます。
バリ島では毎日島のどこかでお祭りがあり、ガムランが演奏されています。私たちがバリ島に行くと癒されるのは、そのガムランのリズムが心拍数と同じだからです。せせらぎも、水の奏でるリズムが1/fのゆらぎの癒しになって、それが清涼感を感じさせるのです。
「緑陰に心身を癒されるのは、なぜ?」
緑陰が嫌いな人はいないと思います。これはフィトンチッド効果があるからです。フィトンチッドの「フィト(phyto )」は「植物」、「チッドcide」は「殺す」を意味します。その言葉どおり、フィトンチッドは植物が天敵を自らの生理機能で排除するために出すものです。防臭・脱臭や抗菌・防虫、リフレッシュ効果などがあり、人間にとっては心癒されるものとなります。フィトンチッドのシャワーを浴びる森林浴の効果は、森林セラピーにも応用されており、ドイツやフランスでは森の中にサナトリウムをつくって治療に生かす療法も進んでいます。
人間は元来、森の生き物でした。人間が森を出て平原で暮し始めてから1万5000年~2万年くらいたちます。しかし人間の歴史は250万年~450万年といわれていますから、そのうち99.7~8%は森で生活していたことになります。つまり五体も五感も森の暮らしに合った感性を身につけているのです。その人間が近代文明を築いてから、たかだか250年ほど。ですから私たちは都会で人工物に囲まれた生活をしていると、知らず知らずの間にストレスを背負い込んでいます。そこで本当に疲れたときは森の生活に戻りたくなります。時には森に戻って緑の土と水に囲まれた中に身を置くことが大切なのです。
(2)3.11が促した文明シフト
3.11で私たちは何を身につけたでしょうか。科学技術とは何ともろいものだったかを思い知らされ、地球や自然・環境とは何かを改めて考えたのではないでしょうか。それによって身につけた「Way of Life」は、ひとつには「量から質へ」のシフトです。私たちは知らず知らずの間に「もっともっと病」にかかっていました。これ以上たくさん作ってたくさん消費するのは、地球の自然に反しています。これからは「足るを知る」こと、「足る」とは何かを知ることが大切になります。
2つ目は「物から心へ」のシフトです。私たちは知らず知らず「物欲」に心が向いていたことを反省したいと思います。
3つ目は「利己から利他へ」のシフトです。3.11以降、多くの日本人に利他の精神があることを知らされました。それはマズローが欲求5段階説で、6段階目の欲求としてあげた利他欲求や、漱石が晩年の境地として言った「則天去私」にもつながるものです。
3.11が私たちに教えてくれた「Way of Life」、それはこうした心の涼しい生き方、清々しく爽やかな生き方だったのではないでしょうか。
2.ワークショップ <涼しい生き方>を語り合った井戸端会議
続くワークショップは、「ワールド・カフェ」方式で行われました。
ワールド・カフェは、カフェにいるような気軽な雰囲気で、会議で話すような真剣な討議をする対話型ワークショップです。9.11後のニューヨークでワールドトレードセンターの跡地利用について市民5000人が話し合ったときに使われた手法だそうです。
この日も4、5人ずつのテーブルに分かれて、サンドイッチをつまみながらオープンな雰囲気の中、対話が繰り広げられました。対話の方法は、発言はできるだけ短く端的にする、発信と同時に受信も心がける、といった注意点以外は自由。話しながら印象に残ったことやキーワードを、テーブルに広げられた模造紙に各自、思い思いに書き留めます。
対話にはテーマが用意されていて、テーマが変わるごとに皆、テーブルを移動し、メンバーが入れ替わります。こうしていろいろな相手と話しながら、つながりや気づきを広げていくのです。
提示されたテーマは、「今回の電力不足によって、どんな体験や経験をしましたか? していますか?」「東日本大震災以後の社会の変化について、どう感じていますか? 何を考えますか?」「この夏の涼しいワークスタイルや、涼しい生き方を考えましょう!」の3つ。大多数がエコピープルどうしということもあり、各テーブルでは終始、熱心な対話が交わされていました。
電力不足に対しては照明の工夫や調理の工夫、衣服の工夫など、日々自分たちが実践している様々な工夫が聞かれたほか、「電気はこんなに使わなくても暮せたんだと気づいた」「出張先で、地域によって電気に対する感じ方に差があるのを感じた」など、意識の変化を感じた人も多かったようです。また震災後の変化については、「心の変化を感じた」「幸福の価値観が変わった」「人がやさしくなった」「自分に何ができるか考えるようになった」「つながりが求められている」というもの、また「危機意識が高まった」「情報を受けるだけでなく自分で判断しないといけないと思うようになった」など、皆、一様に大きな気持ちの変化を感じていることを確認し合いました。そして涼しさの工夫については、モノに頼るよりも、むしろ「心の持ちよう」「熱を発生させない暮し方」「集まって暮す」など、生活の知恵を生かして乗り切ろう、心身共に健やかな暮らしにつながるような創意工夫・努力をしていこうという発言が目立っていたようです。
最後に用意された団扇に、ひとりひとり「私のクールビズ宣言」を記入。「夏を好きになる」「早起き」「みんなでワイワイ」「片づけ上手」「涼しいところに移動しながら暮すネコスタイル」「涼しい場所を目指して外に出る」「風情を感じる」「涼しい顔」‥‥など、各人各様の個性的なクールビズ宣言が並びました。
住んでいる場所も働いている職場も異なり、年代も性別も様々な人々が一堂に会して語り合った、エコピープル版「井戸端会議」。何人かの参加者に感想を尋ねると、「いろいろな分野の人と話せてよかった」「ブログと異なり、リアルの場で生身の相手と話すことで、また違った体験ができた」「それぞれの分野で考え行動している人が集まっていたので、様々な知見が聞くことができ意義深かった」などの声が聞かれました。多くの人が密度の濃い会話と充実した時間を楽しむことのできた一夕となりました。
★皆さんの「スーパークールビ宣言」画像集は近日中にご紹介します。